実用イタリア語検定でイタリア語能力を証明しよう

実用イタリア語検定とは

実用イタリア語検定（伊検）は、特定非営利活動法人 国際市民交流のためのイタリア語検定協会が実施する、日本におけるイタリア語の民間語学検定試験です。1995年から開始され、30年近くの歴史を持つ信頼性の高い資格として、イタリア語学習者の間で広く認知されています。

この検定は、イタリア語の運用能力を客観的に測定し、その習熟度を証明するための試験です。日常会話からビジネスシーンまで、幅広い場面で活用できるイタリア語力を評価し、認定します。

イタリアの料理、ファッション、芸術、音楽、建築といった豊かな文化に興味がある方にとって、この検定はイタリア文化をより深く理解するための重要なステップとなるでしょう。また、イタリア語関連の仕事や留学を目指す方にとっては、語学力を客観的に証明できる有力な資格となります。

6段階のレベル構成と各級の特徴

実用イタリア語検定は、1級・2級・準2級・3級・4級・5級の6段階で構成されており、初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて挑戦できる仕組みになっています。

5級（入門レベル）

イタリア語学習の初歩段階として、基本的な挨拶や簡単な語句の理解が試されます。初めてイタリア語を学ぶ方でも、数ヶ月の学習で挑戦できるレベルです。基本的な自己紹介や日常の簡単なやり取りができることを目標とします。

4級（初級レベル）

平易なイタリア語の理解と、簡単な文章の読解能力が評価されます。基本的な文法事項を理解し、日常生活でよく使われる表現を使いこなせることが求められます。

3級（中級前期レベル）

日常生活に必要な基本的なイタリア語の理解力が求められ、大学2年修了程度のレベルとされています。やや複雑な文章の読解や、日常的な話題についての会話ができる能力が試されます。

準2級（中級レベル）

基本文法について総合的な知識を持ち、日常生活全般に必要なイタリア語の運用能力が評価されます。より複雑な日常会話への対応や、様々な場面でのコミュニケーション能力が求められます。

2級（中級後期レベル）

日常生活や業務上必要なイタリア語の運用能力が求められ、4年制大学のイタリア語専門課程卒業程度のレベルです。ビジネスシーンでの基本的なコミュニケーションや、一般的な説明・報告・通訳ができる能力が評価されます。

1級（上級レベル）

最高レベルとして、広く社会生活に必要なイタリア語を理解し、4年制大学のイタリア語専門課程卒業程度以上の能力を証明します。高度な文章の読解や、専門的な内容についての議論ができる総合的なイタリア語力が必要です。

試験の構成と出題形式

実用イタリア語検定の試験構成は、受験級によって異なります。

4級・5級は、リスニング試験と筆記試験（マークシート形式）で構成されています。一次試験のみで完結し、合否が判定されます。

3級・準2級では、リスニングと筆記試験に加えて記述問題が追加されます。作文能力も評価の対象となるため、より実践的な語学力が求められます。

1級・2級は、一次試験（リスニング、筆記、記述）の合格者に対して、二次試験として口頭試問が実施されます。二次試験では、2名の面接委員による面接形式で、イタリア語でのコミュニケーション能力が総合的に評価されます。

試験日程と受験方法

年2回の試験機会

実用イタリア語検定は、春季と秋季の年2回実施されています。

秋季試験（第61回）

• 一次試験：2025年10月12日（日）
• 二次試験：2025年11月30日（日）※1級・2級のみ
• 実施級：全級（1級、2級、準2級、3級、4級、5級）

春季試験（第60回）実施済み

• 一次試験：2025年3月9日（日）
• 二次試験：2025年4月27日（日）※1級・2級のみ

試験会場

秋季試験は、全国の主要都市と海外の会場で実施されます。2025年秋季の試験会場は以下の通りです：

• 北海道：道民活動センター かでる2・7
• 宮城：戦災復興記念館
• 東京：青山学院大学
• 新潟：新潟市万代市民会館
• 石川：北國新聞会館
• 愛知：名古屋市中小企業振興会館4F（吹上ホール）
• 京都：京都外国語大学
• 大阪：エル・おおさか（大阪府立労働センター）
• 岡山：岡山大学
• 広島：アートリンガル外語学院広島本校
• 福岡：アクロス福岡
• 沖縄：イタリアンカルチャー俱楽部
• ミラノ：Scuola Giapponese di Milano

注目すべき点として、2025年からはオンライン（IBT）試験の実施が見送られ、全級が試験会場での受験となっています。これは、2024年秋季試験が中止になった経緯を受けての措置です。

申込方法の変更点

重要な変更点として、第60回（2025年春季）の検定試験より、窓口・郵送での申込が廃止され、Web申込のみとなりました。

申込は公式サイトの「マイページ」から行います。過去にIBT試験を受験された方は、改めてユーザー登録が必要となりますので、ご注意ください。

受験料

各級の受験料は以下の通りです（消費税と事務手数料の一部220円を含む）：

• 1級：12,000円程度
• 2級：10,000円程度
• 準2級：8,000円程度
• 3級：7,000円程度
• 4級：5,000円程度
• 5級：4,000円程度

※併願する場合は割引が適用されますが、2つの級を別々に申し込んだ場合は適用外となります。

実用イタリア語検定を取得するメリット

統一基準による客観的な能力評価

日本のイタリア語学習環境では、各学校や団体が独自の基準を設けているため、自分のレベルを客観的に把握することが難しいという課題がありました。実用イタリア語検定は、国内で広く認められた統一基準に基づいてイタリア語能力を測定できるため、自己の実力を正確に把握し、学習の指標とすることができます。

全国通訳案内士試験の科目免除

1級合格者には、全国通訳案内士試験の筆記試験語学科目（イタリア語）が免除される特典があります。これは外務省後援の検定ならではの大きなメリットで、通訳案内士を目指す方にとって、キャリアアップの強力な武器となります。

就職・転職でのアピールポイント

イタリア語関連の仕事、旅行業界、貿易関係、ファッション業界などでは、イタリア語能力を証明する資格として高く評価されます。特に2級以上の取得は、実務レベルのイタリア語能力の証明として有効です。

留学や海外での活動に役立つ

イタリア留学を目指す方にとって、実用イタリア語検定の取得は、語学力を証明する重要な指標となります。また、イタリアでの生活や仕事を考えている方にとっても、自己の語学レベルを客観的に示せる有用な資格です。

段階的なスキルアップが可能

6段階の明確なレベル設定により、初心者から上級者まで、自分のペースで段階的にスキルアップすることが可能です。年2回の試験機会を活用して、計画的に上級レベルを目指すことができます。

受験のポイントと攻略法

試験構成の理解

まず、自分が受験する級の試験構成をしっかりと理解しましょう。4級・5級はリスニングと筆記試験、3級以上は記述問題が加わり、1級・2級では一次試験合格後に口頭試問が行われることを把握しておくことが重要です。

出題範囲の把握と基礎固め

各級の出題範囲を確認し、文法や語彙の基礎知識を固めることが合格への近道です。特に、日常会話に必要な基本的な文法や語彙は重点的に学習しましょう。

過去問を活用した実践練習

公式サイトには過去問のサンプルが掲載されています。また、公式過去問題集も販売されているので、これらを活用して本番と同じ形式の問題に慣れておくことが大切です。時間配分の練習も忘れずに行いましょう。

リスニング力の強化

リスニング試験は全級で実施されます。イタリア語の音声に日頃から慣れ親しむことが重要です。イタリアのニュース、ラジオ、ポッドキャスト、映画などを活用して、生のイタリア語に触れる機会を増やしましょう。

長文読解の練習

3級以上では、やや長めの文章を読解する能力が求められます。イタリア語の新聞記事、雑誌、小説などを読む習慣をつけ、読解力を養いましょう。

作文・口頭試問対策

3級以上では作文問題が、1級・2級では口頭試問が実施されます。作文では、正確な文法と自然な表現を心がけ、口頭試問では、自分の意見を論理的にイタリア語で表現する練習を積み重ねましょう。

イタリア語初心者にもおすすめの理由

実用イタリア語検定は、初心者の方にも強くおすすめできる検定試験です。

初級レベルからの段階的な学習

5級は、イタリア語学習を始めて間もない方でも挑戦できるレベルに設定されています。基本的な挨拶や簡単な語句の理解から始められるため、初心者の方の最初の目標として最適です。

学習のモチベーション向上

明確な目標があることで、学習のモチベーションが大きく向上します。検定合格という具体的な目標に向かって努力することで、効率的にイタリア語の基礎を固めることができます。

実践的な語学力の習得

実用イタリア語検定は、その名の通り「実用的」なイタリア語能力を重視しています。試験対策を通じて、日常生活で実際に使える語学力を身につけることができます。

年2回のチャレンジ機会

春季と秋季の年2回、試験が実施されるため、計画的に学習を進めることができます。仮に一度不合格になっても、次回の試験に向けて学習を継続しやすい環境が整っています。

学習方法とおすすめの教材

公式教材の活用

イタリア語検定協会の公式サイトでは、過去問のサンプルや正答表が公開されています。これらは無料で利用できるため、まずは公式教材で出題傾向を把握しましょう。

また、公式過去問題集も販売されています。実際の試験問題に触れることで、本番の雰囲気や難易度を体感することができます。

通信講座の利用

独学が難しいと感じる方には、伊検対策の通信講座も用意されています。専門の講師による指導を受けながら、効率的に学習を進めることができます。

イタリア語学習アプリの活用

スマートフォンアプリを活用すれば、通勤・通学時間などのスキマ時間を有効活用できます。語彙力強化や文法の復習に役立ちます。

実践的な会話練習

可能であれば、イタリア語ネイティブスピーカーとの会話練習の機会を作りましょう。オンラインの言語交換サービスや、地域のイタリア語サークルへの参加も効果的です。

他のイタリア語検定との違い

実用イタリア語検定以外にも、イタリア語の能力を測る検定試験がいくつか存在します。

CILS（チルス）

イタリア・シエナ外国人大学が実施する国際的な検定試験です。イタリア政府公認の資格で、海外での認知度が高いのが特徴です。

CELI（チェリ）

イタリア・ペルージャ外国人大学が実施する検定試験です。こちらもイタリア政府公認の国際資格として認められています。

PLIDA（プリーダ）

ダンテ・アリギエーリ協会が実施する検定試験で、イタリア外務省の認可を受けています。

これらの国際検定と比較すると、実用イタリア語検定は日本国内での認知度が高く、日本語話者向けに設計されているため、日本人にとって取り組みやすい内容になっています。国内での就職や日本国内でのイタリア語能力の証明を目的とする場合は、実用イタリア語検定が最適な選択と言えるでしょう。

よくある質問（Q&A）

Q1. 初めてイタリア語を学ぶのですが、どの級から受験すればよいですか？

A. イタリア語学習を始めて間もない方は、5級からの受験をおすすめします。5級は基本的な挨拶や簡単な語句の理解を問う入門レベルなので、数ヶ月の学習で挑戦できます。まずは5級で合格の喜びを味わい、段階的に上の級を目指すことで、モチベーションを維持しながら学習を続けられます。

Q2. 試験の申込方法が変更されたと聞きましたが、どのように申し込めばよいですか？

A. 2025年の第60回検定試験より、窓口・郵送での申込が廃止され、Web申込のみとなりました。公式サイトの「マイページ」からユーザー登録を行い、オンラインで申込手続きを完了させる必要があります。過去にIBT試験を受験された方は、改めてユーザー登録が必要となりますので、ご注意ください。

Q3. 併願受験は可能ですか？割引はありますか？

A. はい、併願受験は可能です。また、併願する場合は受験料の割引が適用されます。ただし、2つの級を別々に申し込んだ場合は割引適用外となり、申込後の補正（返金）も受け付けられませんので、必ず同時に併願として申し込むようにしましょう。

Q4. 1級合格のメリットについて詳しく教えてください。

A. 1級に合格すると、全国通訳案内士試験の筆記試験語学科目（イタリア語）が免除されます。これは外務省後援の検定ならではの大きなメリットで、通訳案内士を目指す方にとって、非常に有利な特典です。また、就職・転職の際には、高度なイタリア語能力の証明として高く評価されます。

Q5. 過去問はどこで入手できますか？

A. 公式サイトで過去問のサンプルや正答表が無料で公開されています。また、より多くの過去問に触れたい方には、公式過去問題集の購入をおすすめします。これらの教材を活用することで、出題傾向を把握し、効果的な試験対策が可能になります。

Q6. オンライン（IBT）試験は実施されますか？

A. 2025年現在、オンライン試験の実施は見送られており、全級が試験会場での受験となっています。今後の実施形式については、公式サイトで最新情報をご確認ください。

Q7. 二次試験（口頭試問）はどのような内容ですか？

A. 1級・2級の二次試験では、2名の面接委員による口頭試問が実施されます。イタリア語での会話能力、表現力、発音、文法の正確性などが総合的に評価されます。事前に与えられたテーマについて意見を述べたり、面接委員との質疑応答を行ったりする形式が一般的です。

Q8. 不合格になった場合、次回の試験まで待つ必要がありますか？

A. 実用イタリア語検定は年2回（春季・秋季）実施されています。不合格になった場合でも、約半年後には次回の試験を受験できます。不合格の結果を分析し、弱点を克服した上で再挑戦しましょう。

まとめ｜実用イタリア語検定でイタリア語能力を証明しよう

実用イタリア語検定は、イタリア語の習熟度を客観的に評価し、その能力を証明するための信頼性の高い資格試験です。1級から5級までの6段階のレベル設定により、初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて段階的にスキルアップすることができます。

1級合格者には全国通訳案内士試験の筆記試験語学科目が免除されるという大きなメリットがあり、イタリア語関連の仕事や留学を目指す方にとって、キャリアアップの強力な武器となります。

年2回の試験機会を活用し、計画的に学習を進めることで、着実にイタリア語力を向上させることができます。イタリアの豊かな文化をより深く理解し、実践的なイタリア語能力を身につけるために、実用イタリア語検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。

おすすめリンク

イタリア語検定協会 公式サイト
https://www.iken.gr.jp/

試験日程、申込方法、過去問サンプル、正答表など、実用イタリア語検定に関する最新情報が掲載されています。受験を考えている方は、まずこちらで詳細を確認しましょう。

CBT-Solutions 実用イタリア語検定ページ
https://cbt-s.com/examinee/examination/iken.html

試験の概要や受験資格について詳しく解説されています。

 

イタリア文化会館 東京
https://iictokyo.esteri.it/ja/

イタリアの公的文化機関で、イタリア語講座やイタリア文化に関するイベント情報が得られます。検定試験以外のイタリア語学習の機会を探している方におすすめです。