日本化粧品検定協会は怪しい?炎上の真相|擁護できない過ちとその後の展開
2020年2月、美容業界を揺るがす出来事が起きました。日本化粧品検定協会のSNS上での対応が大きな批判を浴び、いわゆる「炎上」状態に陥ったのです。
この記事では、化粧品検定の炎上事件の経緯と真相、そして業界内外からの反応を徹底解説します。
化粧品検定炎上事件の発端とは
美容業界で一定の地位を築いていた日本化粧品検定協会。その評判を一気に揺るがす出来事が2020年2月に起こりました。
事の発端は、あるインスタグラマーが公開した日本化粧品検定協会からのダイレクトメッセージでした。そのメッセージの内容が、業界の常識を逸脱するものだったのです。

SNSでのメッセージ画面イメージ
メッセージの内容は「化粧品検定2級の受験と教材を無料で招待するので、SNSでPRを行ってほしい」というものでした。一見するとインフルエンサーマーケティングの一環として珍しくない依頼に思えますが、ここに大きな問題が潜んでいたのです。
このメッセージが公開されると、Twitter上で徐々に拡散され、多くのユーザーから批判の声が上がりました。批判は主に以下の点に集中していました。
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PR表記を指示していない点(ステルスマーケティングの疑い)
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検定の合否について、合格が確定しているように読み取れる文面
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公式アカウントがSNSのDMでこのような依頼をしていること自体の不適切さ
この時点で、化粧品検定に対する疑念が急速に広がっていったのです。
ステルスマーケティングとは何か
この問題を理解するためには、「ステルスマーケティング」(通称:ステマ)について知っておく必要があります。
ステルスマーケティングとは、消費者に宣伝と気づかれないように行う宣伝行為のことです。一般的なPR(広告)と異なり、「これは広告です」と明示せずに、あたかも中立的な立場からの情報発信のように装うのが特徴です。

ステルスマーケティングの概念図
美容業界ではステマ問題が古くから問題視されており、業界内での自主規制が行われています。特に景品表示法の「優良誤認」に当たるとして罰せられるケースも増えているのです。
化粧品検定協会は、自らのテキストで正しいPR表記の方法や景品表示法について教える立場にありながら、今回の依頼ではPR表記を指示していませんでした。これが「擁護できない過ち」と言われる最大の理由の一つです。
化粧品検定協会の初期対応
炎上が拡大する中、化粧品検定協会は2020年2月15日の深夜、公式Twitterアカウントで謝罪文を投稿しました。
しかし、この謝罪がさらなる炎上を招くことになります。深夜の投稿タイミングや謝罪内容に対して、多くの批判が集まったのです。

深夜のSNS謝罪イメージ
「一連の騒動に関してまして、御一読いただきますようお願い申し上げます」という前置きで始まったこの謝罪文は、多くの人に「誠意が感じられない」と受け取られました。
なぜこの謝罪がさらなる批判を招いたのでしょうか?
化粧品検定協会の謝罪に対する批判
化粧品検定協会の謝罪は、危機管理の観点から見ても多くの問題を含んでいました。
まず、投稿のタイミングが深夜だったことです。これは「わざと見る人が少ない時間に投稿したのではないか」という疑念を招きました。

危機管理広報のイメージ
次に、謝罪文の内容自体にも問題がありました。化粧品検定の最上位資格「コスメコンシェルジュインストラクター」を持つ美容ブロガーかずのすけ氏は、この謝罪について以下の問題点を指摘しています。
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謝罪文の推敲が足りない(内容が短く、説明不足)
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公式アカウントによる投稿で「人」が見えない(誠意が感じられない)
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インフルエンサー側に責任転嫁しているように読める表現がある
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「合否の不正」について具体的に否定できる根拠を示していない
特に批判を集めたのは、謝罪文の中の「間違ったことを言っているインフルエンサーが気に入らないから勉強させた」と解釈できる表現でした。これは責任転嫁と受け取られ、さらなる批判を招きました。
謝罪の仕方で印象が大きく変わる
炎上時の対応は、その後の印象を大きく左右します。
かずのすけ氏は「炎上した時って、謝罪の仕方ひとつで好印象を与えるか、悪印象を与えるかが大きく分かれます」と指摘しています。今回の謝罪は明らかに後者だったと言えるでしょう。
適切な謝罪のあり方としては、以下のような点が挙げられます。
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適切なタイミングでの発表(多くの人が目にする時間帯)
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責任者が直接謝罪する姿勢を見せること
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問題の本質を正確に理解し、それに対する謝罪を行うこと
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責任転嫁と受け取られる表現を避けること
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再発防止策を具体的に示すこと
これらの点が欠けていたことが、さらなる炎上を招いた要因と言えるでしょう。
合否の不正疑惑
謝罪文の中で、化粧品検定協会は「不正に合格させたことはない」と主張しました。しかし、その根拠は示されませんでした。
かずのすけ氏は「不正をしていない」と主張するなら、例えばインフルエンサーの合格率を公開するなど、具体的な証拠を示すべきだと指摘しています。
また、化粧品検定は答案を返送せず、合否に関わらず何点だったかも明示しないシステムになっています。このため、第三者が合否の公正さを検証することが難しい構造になっていることも問題視されました。
インフルエンサーマーケティングの是非
この炎上事件では、「インフルエンサーに無料で検定を受けさせる」という行為自体も批判の対象となりました。特に自費で検定を受けた人々からの反発は大きかったようです。
しかし、かずのすけ氏はこの点については「ビジネスの観点から見れば当然のこと」と指摘しています。

インフルエンサーマーケティングのイメージ
インフルエンサーマーケティングとは、影響力のある人物を通じて商品やサービスを宣伝する手法です。化粧品業界に限らず、多くの業界で一般的に行われている手法であり、それ自体は特に問題ではありません。
むしろ、インフルエンサー側にもリスクがあることを理解する必要があります。インフルエンサーはPR案件を受けることで自分の「信用度」を売っているとも言えるのです。
インフルエンサーの「信用度」という資産
インフルエンサーにとって最大の資産は、フォロワーからの信頼です。
かずのすけ氏は「インフルエンサーマーケティングというのはこの『信用度』の売買」だと説明しています。PR案件を受けることは、その商品やサービスに自分の信頼を賭けることでもあるのです。
特にステマのような不透明な宣伝方法では、後に真実が明らかになった際、インフルエンサー自身の信頼も大きく損なわれます。だからこそ、多くの良識あるインフルエンサーはPR表記を適切に行い、透明性を保っているのです。
今回の問題は、インフルエンサーに無料で検定を受けさせること自体ではなく、それをPRと明示せずに行わせようとした点にあったのです。
化粧品検定の価値と今後の課題
この炎上事件により、化粧品検定自体の価値も問われることになりました。
「価格が高い」「詐欺だ」といった批判も見られましたが、かずのすけ氏は検定の内容そのものには価値があると擁護しています。

「初心者の人でも化粧品について体系的に学べる教材としてはかなり役立つものなのは確かです」と彼は評価しています。また、検定の価格についても「内容的に受験料や教材費は言うほど高いものでもない」と述べています。
しかし、最も失望し怒っているのは資格保持者たちだとも指摘しています。「頑張って取得した資格の価値が、公式の過ち一つでこの信頼の低下ですから…」
信頼回復への道筋
では、化粧品検定協会はどのように信頼を回復していくべきなのでしょうか。
かずのすけ氏は以下のような対応を期待しています。
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今後の方針をしっかり定めること
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正しい形で再度謝罪を行うこと
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信頼回復のために粛々と活動を続けること
特に重要なのは、透明性の確保と誠実な対応です。一度失った信頼を取り戻すのは容易ではありませんが、継続的な誠実な姿勢が必要となるでしょう。
化粧品検定炎上から学ぶ教訓
この事件から、企業や団体が学ぶべき教訓は多くあります。
まず、SNS時代においては情報の透明性が何よりも重要です。ステルスマーケティングのような不透明な手法は、発覚した際のダメージが非常に大きくなります。
特に、化粧品検定協会のように「正しい知識を広める」という使命を持つ団体であれば、その行動には高い倫理観が求められます。
危機管理広報の重要性
また、問題が発生した際の対応(危機管理広報)の重要性も浮き彫りになりました。
適切なタイミングで、誠実な謝罪と具体的な改善策を示すことが、信頼回復の第一歩となります。今回の対応は、危機管理広報の「反面教師」として参考になるでしょう。
炎上は一時的な現象かもしれませんが、その影響は長期にわたることがあります。特にインターネット上では情報が半永久的に残るため、一度失った信頼を取り戻すには長い時間と継続的な努力が必要です。
まとめ:化粧品検定炎上から見える業界の課題
2020年2月に起きた化粧品検定協会の炎上事件は、美容業界における透明性と倫理の問題を浮き彫りにしました。
この事件の本質的な問題点は以下の通りです。
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PR表記を指示せず「ステルスマーケティング」を依頼していた点
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場当たり的で不適切な謝罪文をSNS公式アカウントから深夜に投稿した点
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謝罪文の内容がインフルエンサー側に責任転嫁しているように読める点
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「合否の不正」について具体的に否定できる根拠を示していない点
一方で、化粧品検定自体の価値は多くの専門家が認めるところであり、初心者が化粧品について体系的に学べる貴重な機会を提供していることも事実です。
今後、化粧品検定協会が信頼を回復し、本来の使命である「正しい化粧品知識の普及」に立ち返るためには、透明性の確保と誠実な対応が不可欠でしょう。
この事件は、SNS時代における企業・団体の倫理的行動の重要性と、危機管理広報の難しさを改めて教えてくれました。
美容業界に限らず、あらゆる業界の関係者がこの事例から学び、より透明で誠実なコミュニケーションを心がけることが望まれます。
詳細については、化粧品の専門家かずのすけ氏による詳細な分析記事も参考になります。